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モノクロ印刷についてまとめてみた モノクロ2階調とグレースケール

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モノクロ印刷についてまとめてみた ~ モノクロ2階調とグレースケール ~

知っているようでよく知らないモノクロ印刷。今回はモノクロ印刷について詳しく解説したいと思います。

モノクロ印刷とは?

そもそもモノクロとは「monochrome(モノクローム)」の略であり「単色・1つの色」のこととされています。
モノクロ印刷とは、黒(K/スミ)1色のみを使った印刷のことです。スミベタ(K100%)のほか濃淡も表すことができます。白黒印刷なので「白と黒の2色じゃないの?」と思われがちですが、白のインキは使用しません(紙が白いため、印刷しない部分が白となる)。またモノクロ印刷に対して、フルカラー印刷は「C(シアン)」「M(マゼンタ)」「Y(イエロー)」「K(スミ)」の4色のインキをかけ合わせたものを言います(基本の4色では表現しづらい色を出すために、さらに追加のインキを使う場合もあります)。

フルカラー印刷と、階調のあるモノクロ印刷の退避イメージ

モノクロ印刷のメリット

モノクロ印刷のメリットは、なによりも印刷費がフルカラーよりも安く済むことです。近頃はフルカラー印刷も単価が安くなってきていますが、モノクロ印刷のほうが刷版・インキ・作業量とも少ないことからやはり安いのが一般的です。モノクロ印刷でも表現が十分であれば、コスト削減が可能になり、枚数を多く刷るといったプラスの要素も出てきます。モノクロにすることで、よりおしゃれで素敵になり目立つ表現にすることも可能です。データによっては、モノクロでないときれいに表現できないケースもあります。それぞれの特性を生かして使い分けることが大切です。

  • レトロ感のある落ち着いた雰囲気に見せることができる
  • 色相・彩度がない分、シルエットと明るさだけで表現でき印象的になる
  • 1色なので印刷の価格が安い
  • 制作ファイルサイズを最小に抑えられる

モノクロ印刷のデメリット

モノクロ印刷のデメリットは、おとなしくて地味な印象になってしまうことやカラー写真などのデータをモノクロにした場合に分かりづらくなってしまうことがあります。黒だけでは、繊細な部分まで表現するのは難しい場合があります。ありがちな例を挙げれば、免許証などの身分証をコピーすると起きてしまう現象です。先にモノクロデータで濃度の調整をしておかないと、何が写っているのかわかりにくくなります。モノクロ印刷は、印刷所によっては解像度の高いものを求められることがあります。データの解像度によっては対応できない可能性もあります。

  • 地味、安っぽく見えてしまうこともある
  • 商品がイメージしにくく購買意欲をかき立てるのが難しい場合もある
  • 第一印象が悪くなってしまう場合もある
  • 重要な部分を目立たせるなど、メリハリをつけるのが難しい

2種類のモノクロ印刷データ

モノクロ印刷には「モノクロ2階調」と「グレースケール」の2種類があります。

●モノクロ2階調とは

画像を白か黒の2色(2階調)のみで表現する方法で、中間色であるグレーはありません。白と黒のみになります。グラデーションを表現する際はドッド(トーン)で表現されます。線がシャープになります。イラストや漫画は手描きに近い表現になりますが、画像に対しては補正などの修正がほとんど効きません。

●グレースケールとは

画像を白から黒までの明暗によって表現する方法で、白と黒、さらに中間色であるグレーのグラデーションがあります。グレーがあることよって表現の精彩さが異なります。通常、デジタルデータ上でのグレーは254階調です。印刷の際は、K0%(白)~K100%(黒)の範囲のグレーに置き換えられて再現されます。

グレースケールとモノクロ2階調のトーンの対比

●モノクロ2階調とグレースケールの違いと使い分け

印刷する際、文字だけのデータの場合はどちらでも大差はありませんが、イラストや写真を使う場合にはモノクロ印刷の特徴を理解して使い分けることで、失敗しないモノクロ印刷にすることが出来ます。

– イラストや漫画の場合 –

漫画やイラストなどは、手書きのような表現のため、モノクロ2階調が向いています。グレースケールでは線がボケた印象になるため、はっきりくっきりとした表現になりません。エッジがギザギザになりやすいため解像度の低いデータは粗くなってしまうので、高解像度のデータを使うことをおすすめします。

カラーイラストのモノクロへの変換イメージ

– 写真データの場合 –

元々カラーの写真などをモノクロ印刷する時にはグレースケールがオススメです。カラー原稿の濃度を読み取り、グレーに置き換えることができるため、グラデーションなども自然な表現が可能です。データの解像度が低い場合や、アンチエイリアスがかかった状態を再現したい場合も、グレースケールのほうが向いています。写真・カラー原稿や、グラデーションがある原稿などをモノクロ印刷する場合はグレースケール、テキストのみの原稿はどちらでもOKというようなイメージでしょうか。

カラー写真のモノクロ変換イメージ
※ モノクロ2階調はモアレ(干渉縞)が強く出ている例です

カラーモード変換の注意

デジタルカメラ等で撮影した画像やビジネスソフト(ワード・エクセル・パワーポイント等)の殆どはカラーモードがRGBという形式です。カラー画像のままモノクロ印刷をすると濃い色の領域を黒として認識され、濃淡が分かりづらくなるため、画像のカラーモードに注意して変換しましょう。

まとめ

ここまでモノクロ印刷についてさまざまな種類の違いと使い分けをご紹介してきました。ただの黒1色の印刷だと思われがちですが、実はフルカラー印刷よりも気を使うことが多いかもしれません。ある程度の手間やコツが必要となってきます。モノクロ印刷に詳しくなることによって、より印刷について理解が深まるはずです。ぜひうまく活用してください。


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